この絵の上方にある詩は、宮澤賢治さんの詩集「春と修羅・第二集」にある「山火」という作品です。闇の中にかすかに浮かぶ詩を紹介しましょう。
蛙は遠くでかすかにさやぎ
もいちどねぐらにはばたく鳥と
星のまはりの青い暈(かさ)
……山火はけぶり
山火はけぶり……
半霄(はんしょう)くらい稲光りから
わづかに風が洗はれる